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少年事件の流れ(犯罪少年14歳以上20歳未満の少年)

少年事件の流れと弁護士

犯罪少年14歳以上20歳未満の少年事件
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刑事事件の基礎知識

少年事件の流れと弁護士の役割

ここで使われている少年は、20歳未満の男子・女子を意味しています。

少年が起こしてしまった事件の取り扱いは、成人の事件とは流れが大きく異なります。

成人と少年の大きな違い

  • 原則として、すべての少年事件は警察・検察から家庭裁判所に送られる
  • 原則として、保釈制度がない
  • 原則として、裁判は非公開
  • 少年法により、成人とは違った特別の措置が講ぜられる

少年事件は、年齢や状況によって以下の3種類に分類されています。

1
犯罪少年
14歳以上の少年が刑法に違反する事件を起こした場合、犯罪少年に分類されます。
2
触法少年
14歳未満の少年が刑法に違反する事件を起こした場合、犯罪少年に分類されます。
3
ぐ犯少年(虞犯少年)
保護者への反抗や不良交遊などの傾向が強く、将来罪を犯しまたは刑罰法令に触れる行為をするおそれのある場合、ぐ犯少年に分類されます。
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犯罪少年の場合、上記の図のように進んで行きます。それでは、図の①から順番に解説をします。

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1

事件の発生

例えば、他人に暴力を振るってしまった、他人や店舗から物やお金を盗んでしまった、痴漢をしてしまった、わいせつ行為をしてしまった。

このような事の被害に遭われた被害者側であれば、警察に被害届を提出するか否かを判断されると思います。

もし、加害者側であった場合、警察に捜査されるのではないか?逮捕されて留置場に入れられてしまうのではないか?などどうすれば良いのかわからない方も居られると思います。

この時点での弁護士の役割
  • 被害者との示談交渉
  • 自首の相談
  • 証拠の保全や証人の確保
2

捜査機関による捜査の開始

犯罪少年における事件においても、捜査機関が捜査を始めるきっかけは、警察による職務質問から事件が発覚する場合や被害者からの被害届提出、受理から捜査が開始される事が多いようです。

この時点での弁護士の役割
  • 被害者との示談交渉
  • 自首の相談
  • 証拠の保全や証人の確保
3

被疑者(容疑者)の特定

捜査機関は、職務質問や被害届の提出を受け発覚した刑事事件の捜査を開始し、被害者の取調べをしたり、犯行現場の状況を調査したり、犯行現場に残されていた遺留品の捜査をしたり、DNA鑑定を行ったり、現場付近の防犯カメラを解析したり、目撃者や周辺の住民に聞き込み調査をしたり、時には裁判所に令状を発付してもらい個人宅への捜索などを行い、事件に絡んでいるであろう証拠品などを押収しながら被疑者(容疑者)を特定していきます。

この時点での弁護士の役割
  • 被害者との示談交渉
  • 出頭の相談
  • 証拠の保全や証人の確保
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4-1

捜査機関による被疑者(容疑者)の逮捕

刑事事件が発覚しその後、様々な捜査によって被疑者(容疑者)を特定します。被疑者(容疑者)が特定されると捜査機関は、裁判所に逮捕状を発付してもらい被疑者(容疑者)を逮捕します。逮捕には種類があり「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3種類になります。逮捕状が発付されてから逮捕されるのは、「通常逮捕」になります。

逮捕されるとほとんどの場合、被疑者(容疑者)は家に帰る事が許されておらず最長48時間は留置場に収容され取調べを受ける事になります。警察は、この48時間以内に被疑者(容疑者)の身柄や事件の関係書類、証拠などを検察庁に送らなければなりません。

この時点での弁護士の役割
  • 被疑者(容疑者)が逮捕されれば、いつでも、どこでも、弁護士を呼ぶ権利・弁護人を選任する権利があり接見(面会)することが出来ます。
  • 弁護人と接見する事により、被害者との示談交渉を始めることが出来たり、又示談が取れた結果、不起訴になったり、罰金刑など軽微な処分になるのか、示談が取れたからといって処分には影響が無いのかなど適切な方針を相談することが出来ます。
  • 弁護人と接見する事により、今後受ける事になる取調べに対する受け答えなどの打ち合わせをすることが出来ます。(取調べを受けるうえで有利・不利な話を問わず何を話すべきか、何は話さなくてもよい事かなど)
  • この時点では、被疑者(容疑者)は、ご家族であっても接見(面会)は出来ませんので被疑者(容疑者)が選任した弁護人経由で情報を集める事しか出来ません。
4-2

任意の取り調べ(在宅事件)

刑事事件を思い浮かべると逮捕され留置場や拘置所で勾留され捜査や取調べを受けるイメージがありますが、在宅事件では、刑事事件でも逮捕されず日常とほぼ変わらない生活を送りながら捜査機関や検察の捜査が進んで行くというものです。

日常生活と変わらないと言っても警察や検察から取り調べの為、呼び出される事があります。

また勾留されていれば(身柄事件)最長勾留期限(20日間)が決まっているのでそれまでに起訴されるか不起訴になるか決まりますが、在宅事件の場合、法律的に期限が決まっていないので起訴するか不起訴にするかの判断が捜査が始まってから数カ月にわたり長期化し、どうなってしまうのか不安な日々を過ごさなければならないといったこともあります。

この時点での弁護士の役割
  • 被疑者が無実を主張しているのであれば、検察官に無実の主張や証拠を示し納得してもらい不起訴処分の獲得を目指す。
  • 被害者との示談交渉成立によって不起訴処分を目指す。
  • 証拠の保全や証人の確保
5-1

警察が被疑者を検察に送致(送検)

逮捕され48時間以内に警察は、被疑者(容疑者)の身柄や事件の関係書類、証拠などを検察庁に送致(送検)します。

この時点での弁護士の役割
  • 警察に検察送致(送検)が必要ない事を主張し交渉する。
  • 被疑者との接見(面会)
  • 被害者との示談交渉
  • 証拠の保全や証人の確保
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5-2

書類送検

刑事事件の中には、逮捕されるまでもないような事件や逮捕されても48時間以内に釈放され勾留されるまでもない事件も沢山あります。

その様な場合、被疑者(容疑者)は身柄を拘束されず在宅のまま、警察は関係書類のみを検察庁に送致(送検)します。

この時点での弁護士の役割
  • 被害者との示談交渉
  • 証拠の保全や証人の確保
  • 検察に寛大な処分を求める
6-1

勾留決定(最長25日間)

勾留とは、検察が裁判所に対し勾留請求をし、これを受けた裁判所は被疑者(容疑者)に勾留質問をし、勾留の必要が有るのか無いのかを判断します。これは、20歳以上の刑事事件も少年事件もあまり違いがありません。

勾留が決定すると留置場などの刑事施設での生活を強いられ、最長25日間身柄を拘束されることになります。

警察署の留置場には、成人の被留置者も生活していますが、少年とは生活空間が遮られているなど配慮されていますので顔を合わせる事はあまりありません。

状況にもよりますが、勾留を免れない状況になった場合、勾留に代わる観護措置(勾留中に留置場から少年鑑別所等に身柄を送致してもらうこと)をお願い出来る事もあります。

この時点での弁護士の役割
  • 勾留を免れない状況になった場合、警察署の留置場よりも良い環境で過ごせるであろう勾留に代わる観護措置(少年鑑別所)を働きかを行う。
6-2

勾留に代わる観護措置(少年鑑別所)

検察は、勾留請求に代わる少年鑑別所送致の観護措置請求をする場合があります。

少年鑑別所は、少年の健全な育成の為の観護処遇を行う場所なので警察署の留置場での生活よりも良い環境で過ごせます。

この時点での弁護士の役割
  • 観護処遇を短期間に進めるよう、働きかを行う。
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7

家庭裁判所送致

20歳以上の刑事事件の場合、警察などの捜査機関から検察へ事件が送致(送検)され、最終的に検察によって起訴するか不起訴にするかを判断しますが、少年事件の場合、検察が起訴不起訴の判断をするのではなく、検察に送致されてくる少年事件はすべて家庭裁判所に送致されます。これを、全件送致主義と言います。

また、家庭裁判所送致の当日に観護措置の必要が有るか無いかを決定する為に裁判所によって審問が行われます。

この時点での弁護士の役割
  • 家庭裁判所調査官からの調査などの準備。
  • 審判が開始されないよう裁判官に働きかけを行う。
  • 観護措置(少年鑑別所)にならないよう裁判官に働きかを行う。
8

観護措置(少年鑑別所)

家庭裁判所の審問により観護措置が必要と判断されれば最長4週間少年鑑別所に入り生活する事になります。

少年鑑別所では、鑑別技官によって今までの生い立ちや非行を行った時の心理状態を細部にわたって聞かれる事になります。

この時点での弁護士の役割
  • 鑑別所に入所してしまうと一般(家族)の面会は禁止されていますが、弁護士の接見(面会)だけは法律によって許されています。
  • 観護措置に異議がある場合、裁判官に対して異議の申し立てを行う。
9

家庭裁判所調査官による調査

家庭裁判所から調査命令が出されると調査官は、保護者や少年に対して照会書や面談を通じて、少年の成育歴、性格、家庭状況、生活状況、経歴や事件の内容・原因についての認識、今後の生活の計画・監督の方針(保護者)、被害者に対する謝罪や弁償等について質問されます。

調査官は、審問に対する保護者や少年の回答を得て、少年調査票という記録に記載していきます。少年調査票に記載される事は、他に処遇意見というものが記載され内容としては、少年を審判するのかしないのか、審判をする場合、処分(少年院送致・保護観察など)が必要なのか必要ではないのか等があります。処遇意見は、裁判所に提出され裁判官の判断に大きく影響する事があります。

この時点での弁護士の役割
  • 弁護士は、調査官に対し少年が出来るだけ社会の中での更生、立ち直りが出来るよう働きかけを行う。
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10-1

審判

少年事件の審判は、成人の刑事事件の刑事裁判にあたるものです。通常の刑事事件の裁判は地方裁判所で公判によって公開された裁判ですが、審判は家庭裁判所にて非公開で行われます。

審判には、裁判官・書記官・調査官・少年・保護者が出席し少年に付添人弁護士がついていれば弁護士も出席できます。

通常、審判の最後に裁判官から少年に最終的な処分内容が言い渡されます。

この時点での弁護士の役割
  • より良い処分を獲得するために裁判官などに意見書を提出するなどの弁護活動。
10-2

審判不開始

家庭裁判所の調査の結果、審判に付することが出来ない時、又は審判に付することが相当でないと認める時に審判不開始になる事があり、家庭裁判所による審判が開始されません。

審判に付することが出来ない時とは
  • 審判条件が存在しない時
  • 非行事実存在の可能性がない時
  • 少年の心神喪失や,所在不明,疾病,海外居住などにより調査・審判が法律上又は事実上不可能になった時
以上の3つが考えられます。
審判に付することが相当でないと認める場合とは
  • 事案が軽微な場合
  • 別件保護中の場合
  • 保護的措置により要保護性が解消された場合
以上の3つが考えられます。
11

試験観察

家庭裁判所で直ちに少年に対する処分を決定する事が困難な場合、家庭裁判所調査官の観察(試験観察)になる場合があります。

試験観察は、少年に更生のための助言や指導をしながら、少年自身が自主的に問題点を改善・解決していこうとしているかなどの観察を行います。

一定期間の試験観察をし、過程や結果なども踏まえた上、裁判官が最終的な処分を決定します。

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不処分(教育的措置)

少年に対し処分を行わなくても、調査や審判の過程で様々な教育的働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められれば、不処分となります。

13-1

検察逆送

検察逆送(検察官送致)とは、家庭裁判所の審判で刑事処分が相当であると判断された場合、事件が家庭裁判所から検察に戻されて送致される事です。事件が家庭裁判所から検察に逆送されると多くの場合、少年であっても刑事処分を受ける事になります。

検察逆送には、大きく分けて下記の2種類があります。

(1)年齢超過による逆送
事件が検察から家庭裁判所に送られ、調査・審判を行っている段階で少年の年齢が20歳以上と判明した場合、事件を成人の刑事手続きに戻すため検察に逆送されます。少年が20歳以上か否かの判断は、事件が発生した時ではなく調査・審判が行われる時点になります。
(2)少年ではあるが刑事処分が相当であることによる逆送
一般的には、殺人事件、強盗致傷事件、傷害致傷事件、放火事件などの重い犯罪の場合、検察に逆送される場合があります。
13-2

保護処分

保護処分とは、少年に更生をさせるための処分になります。

保護処分には、保護観察・少年院送致・児童支援施設又は児童養護施設送致の3種類があります。

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13-3

知事又は児童相談所長送致

審判の結果、少年の処遇を児童福祉機関の措置に委ねる事が相当と判断された場合、知事又は児童相談所長に送致されます。

知事又は児童相談所長送致とありますが、実際には都道府県知事に送致される事はほとんどなく、児童相談所長に送致決定する場合が大部分を占めます。

14-1

少年院送致

審判の結果、再非行の危険性が高いと判断された場合、少年院に送致され収容されます。

少年院に収容されると自由を拘束され、矯正教育やその他必要な処遇を受ける事になります。

少年院送致の可能性が高いケース
  • 暴力団や暴走族など反社会的勢力に所属している場合
  • 就学せず、定職にもついていない場合
  • 家庭環境が劣悪な場合(親に見放されているなど)
  • 非行を繰り返している場合(保護観察中の再非行・前歴など)
14-2

保護観察

審判の結果、保護観察処分が付されると施設などには収容されず在宅で保護観察所(保護司)の指導監督のもと少年の更生を図る処遇となります。

担当保護司と月2回程度面会を継続的に実施し、少年の行状を把握し、遵守事項を遵守するように必要な指導助言等を行います。

遵守事項の違反や少年の生活が不安定となった場合、警告や施設送致申請等の実施が検討される事もあります。

保護観察の期間は、観察開始から2年間とされています。

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14-3

児童支援施設又は児童養護施設送致

審判の結果、児童福祉法上の支援が必要と判断された場合、児童支援施設又は児童養護施設に送致され収容されます。

児童支援施設又は児童養護施設に収容されると、原則としては自由で開放的な環境の中、訓練・指導を受ける事になります。

児童自立支援施設とは
家庭的な雰囲気の中で児童に対して支援を行い、自由で開放的な環境の中、生活指導・学科指導・職業指導が行われます。
児童養護施設とは
児童指導員・保母が、児童と寝起きを共にし、生活指導員が社会の健全な一員となるよう生活指導をし、職業指導員が児童の適性に応じて職業指導が行われています。
※児童養護施設は、そもそも要保護児童のための施設であり非行性のある児童に対して特別な処遇を行うことが困難な為、実際に家庭裁判所による保護処分として児童養護施設送致は非常に少ないです。
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