警察が被疑者(容疑者)を逮捕すると逮捕期間である72時間(3日間)は、警察署に設置されている留置場で身柄を拘束され生活することになります。
その後、勾留が決定すれば10日間、勾留延長されれば、さらに最長10日間、最長23日間、留置場で身柄拘束をされることになります。
さらに別容疑などで再逮捕され、勾留の決定を繰り返すと数カ月間、留置場での生活しなければいけません。
留置場という場所のことは、皆さん聞いたことがあると思いますが、「どんな場所なのか?」「どのような生活を送るのか?」ということをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、留置場の規則や留置場での勾留生活について説明します。
留置場は、全国のほとんどの警察署に設置されている刑事施設です。
ちなみに全国の留置施設は、1200以上あるといわれています。
一般的に逮捕されると容疑者(被疑者)の自宅近くにある警察署の留置場に入れられるのではなく、実際に事件があった場所を管轄している警察署の留置場に入ることになります。
留置場では、
が生活しています。
勾留が決定されたり、起訴されたりすると留置場から拘置所に移送され拘置所で勾留・起訴後勾留されることになっていますが、拘置所や拘置支所が全国的に少なく慢性的に定員オーバーなことなどから実際の運用では、ほとんどの人が留置場で勾留生活を過ごしています。
最初に留置場に入る時には、留置場担当警察官によって身体検査・所持品検査が行われます。
身体検査では、全裸になり身体的特徴を調べられることになります。例えば、体にある傷、どこに刺青があるか、ピアスの穴はどこに何個開いているかなどをチェックされます。
全裸での身体検査は、危険物や証拠品をを隠していないか、口の中・耳の穴、股の間やお尻の穴まで徹底的にチェックされます。
留置場内には、ほとんどの私物を持ち込めないので、持ち込み出来ない私物に関しては、警察に預けることになります。
警察に預ける私物は、ひとつひとつリスト化され、釈放時に返却されます。
留置場では、留置担当の警察官によって決められたスケジュールに従い生活を送ることとなります。
指示に従わない場合は、留置担当官により厳しい指導が行われ、場合によっては拘束着を着用させられたうえ、留置場内の保護室へ移動させられ管理が強化されます。
ある留置場での1日のスケジュールは、
7:00 | 起床 洗面 掃除 点呼 |
8:00 | 朝食 運動 入浴(夏季週2回程度・冬季週1回程度) |
12:00 | 昼食 |
18:00 | 夕食 |
21:00 | 就寝 |
というように規則正しい生活をおくります。
警察や検察からの取調べがある時は、朝食から昼食の間、昼食から夕食の間、場合によっては、夕食から就寝の間に行われます。
留置場の時間割が必ず優先されているので警察や検察は、食事の時間や弁護士との接見(面会)・一般の面会を無視して取調べを行うことはありません。
留置場では、規則に定められた生活をしなければなりませんが、その規則自体が都道府県や地域、警察署によって違うことがあります。
例えば、「起床」が7:00ではなく6:30だったり、朝食後の「運動」が昼食後であったり、入浴できる曜日や回数が違っていたり、食事の内容が違ったり、官本の貸し出し冊数が違っていたり、面会の受付時間が異なっていたりと様々です。
留置場に入っていて生活するのであれば、そこの規則に従うだけですが、面会の受付時間の違いや差し入れ規則の違いには、注意が必要です。
留置場での生活空間は、10畳ほどの居室に定員が4人から6人で「雑居」と呼ばれており、床は薄い絨毯又は、畳敷きになっていて、他の被疑者(容疑者)と相部屋になり共同生活することになります。
通常は、雑居での留置となりますが、被疑者が有名人や芸能人であったり、暴れるような人であったり、他の被留置者とトラブルをおこしてしまう人などは、定員1名の「独居」に入れられることがあります。
居室の出入り口側には、鉄格子がはめられ、その上に手の指も入らないような目が細かい金網が設置されています。被留置者の人権が配慮されていて鉄格子・金網の下半分には、不透明な板が設置されており、座った状態で頭部しか見えないようになっています。
室内には、机・椅子などの家具は一切なく、各居室内には、トイレだけ、新設された留置場では洗面台とトイレが設置されています。
トイレは壁で囲まれていて一定のプライバシーに配慮されていますが、大きな監視窓が設置されており、しゃがんだ状態でも外部から上半身が見えるようになっています。
被留置人が居室から出ることが許されるのは、「運動」や「入浴」「取調べ」の時だけで留置されている間一番長く過ごすことになる場所は、居室になります。
留置場での食事は、朝・昼・夜と1日三食、時間通りに必ず提供されます。
警察署には、調理場が設置されていないので留置場の食事は、近隣の仕出し弁当屋やパン屋などが提供しています。近隣のお店から調達しているので食べる時点では、冷めていることが多いようです。
留置場の部屋には、自殺防止や他人を傷つけることを防止する為、テーブルやイスなどの家具が一切ない為、床に直置きした弁当を食べる以外ありません。
留置場で提供される食事は、資格を取得している栄養士によって定期的に栄養のバランスをチェックしています。
栄養バランスがチェックされていると言っても留置場の食事はレパートリーも少ないですし、量も少ない、いつも冷めていることもあり、満足できるものではないといわれています。
食事に満足できない人は、留置場の食事の規則として「自弁」というものがあり、昼食に自費で外部の食事や菓子パン、お菓子類、ジュース類を頼むことができます。
頼むことができる自弁も、各警察署によって違いがあり、自弁の特徴でその留置場が特定されるようなこともあります。
留置場に入る際に携帯電話やスマホ、パソコンなど外部と連絡できるものは、警察に預けることになってしまうので、このような連絡手段は使えません。
被留置者とのコミュニケーションは、面会・手紙・差し入れ・弁護士を通しての連絡以外ありません。
弁護士は、逮捕直後から被疑者(容疑者)に接見・差し入れなどのコミュニケーションが可能なので「すぐに連絡が取りたい」「すぐに差し入れをしたい」場合は、弁護士にお願いすれば可能となります。