刑法犯罪において、少年(20歳未満)も一定割合存在していますが、少子高齢化に伴い少年による逮捕者数及び逮捕者全体の割合はどのように変化しているのか、法務省発表の公式データを元に調査しました。
【法務省 犯罪白書 平成30年版】
全検挙数 | 少年検挙数 | 少年比率 | 10万人 当たりの 少年検挙者数 | |
平成15年 | 401,449 | 165,973 | 41.3% | 1,265.4 |
平成16年 | 409,488 | 155,051 | 37.9% | 1,209.3 |
平成17年 | 407,753 | 144,255 | 35.4% | 1,146.4 |
平成18年 | 403,417 | 131,623 | 32.6% | 1,058.8 |
平成19年 | 383,906 | 121,165 | 31.6% | 987.9 |
平成20年 | 357,668 | 108,592 | 30.4% | 894.5 |
平成21年 | 351,234 | 108,358 | 30.9% | 900.9 |
平成22年 | 340,683 | 103,627 | 30.4% | 864.7 |
平成23年 | 322,567 | 94,369 | 29.3% | 787.2 |
平成24年 | 301,331 | 79,430 | 26.4% | 666.5 |
平成25年 | 275,415 | 69,113 | 25.1% | 583.9 |
平成26年 | 263,451 | 60,251 | 22.9% | 514.2 |
平成27年 | 249,114 | 48,680 | 19.5% | 419.4 |
平成28年 | 234,963 | 40,103 | 17.1% | 347.1 |
平成29年 | 223,314 | 35,108 | 15.7% | 307.2 |
直近の平成14年~平成29年のデータで確認すると、全体の検挙者数も減少していますが、少年の検挙者数はそれを上回る勢いで減少しています。
少年の人口減少に伴って検挙者数も減少しているのはわかりますが、それだけではないことが「10万人当たりの少年検挙者数」で表されています。
平成15年の少年10万人当たりの検挙者数は1265人でしたが、平成29年には307人と、1/4にまで減っています。
わかりやすくパーセントで表記すると、平成15年では少年全体の「1.27%」が検挙されていましたが、平成29年では「0.31%」となっているのです!!
全体としては、犯罪を犯す又は犯罪に巻き込まれてしまい検挙されてしまう数は減っていますが、一部の犯罪、特に振り込め詐欺などの事件では、少年がアルバイト感覚で集金を行ったりすることなどから、犯罪によっては減少ていない種類のものがあるのも存在します。
平成15年では40%以上だった検挙者全体の少年の割合は、ここ3年では20%未満となっており、平成29年は15.7%まで低下しました。
人口比率による成人(20歳以上)における検挙率は、平成15年で0.23%、平成29年で0.18%、平成15年~29年の平均値は0.22%と、若干の減少傾向があるものの、ほぼ横ばい状態です。
人口比による 成人検挙率 | 人口比による 少年検挙率 | 全検挙者から 少年の比率 | |
平成15年 ~29年平均 | 0.22% | 0.80% | 28.4% |
平成15年 | 0.23% | 1.27% | 41.3% |
平成29年 | 0.18% | 0.31% | 15.7% |
成人の検挙者率が平均で0.22%なので、平成15年の少年検挙率1.27%と検挙者の少年比率41.3%がいかに高かったかがわかります。
平成29年になり、人口比による少年検挙率が成人の検挙率に近づきつつあります。これは少年が犯罪に巻き込まれない世の中に代わりつつあるということで喜ばしいですが、まだ成人の検挙率よりも少年の検挙率の方が高い水準です。
今後も社会全体で少年が犯罪に巻き込まれないように、より一層努力し、少年たちに手を差し伸べ続ける必要があります。