逮捕された容疑者の起訴率(その1)

起訴状 逮捕

前回、刑事起訴されると有罪率は99.9%なのかを検証し、実際は「97.56%」という結果になりましたが、今回は逮捕された容疑者はどれくらい起訴されるのかを公式データを使って検証してみましょう。

前回取得した裁判所の公式データ(平成27年)によると、起訴された件数は「82,867」件となっていますが、「同一被告に関する事件の併合( 同じ被告に複数の事件のある数 )」が「21,412」となり差し引きすると。。。

82,867-21,412=61,455

裁判が行われたのは61,455となりました。

逮捕された件数は法務省の公式データを確認します。

 (↑平成27年のデータは平成28年度版で公開されています。)

「検挙人員」が警察などの捜査機関が容疑者を特定し逮捕や任意同行を行った数で、「刑法犯の検挙人員数」は239,355人となっていますが、これには「危険運転致死傷・過失運転致死傷等 」が含まれていません。

「危険運転致死傷・過失運転致死傷等 」 であっても、逮捕され留置場に入れられたり、起訴されることもありますので、これらを含めた数の「770,674」人が検挙された容疑者の数ですね。

しかしここで問題が、、、、「検挙人員数」=「逮捕者数」ではありません!

検挙捜査機関が犯罪を起こした疑いのある人を特定し、警察などへ連れて行くこと。任意同行も検挙です。
逮捕捜査機関が被疑者(容疑者)の身体を拘束する手続き。留置所などの刑事収容施設で拘束される。

とはいえ、逮捕でなく任意同行などで検挙された人も「証拠隠滅の恐れ」と「逃亡の恐れ」が認められないだけなので、留置所に入れられなくても捜査の結果「刑事起訴」される可能性ももちろんあるため、検挙されたら起訴率はどれくらいなのかを見てみましょう。

刑事起訴数 ÷ 検挙人員数 = 起訴率

61,455 ÷ 770,674 = 7.974%

前回計算した「起訴された場合の有罪率」が 97.56% と、とても高かっただけに、かなり低く感じてしまいますね。

もちろん、罪状(犯罪の種類)によってはかなりのバラつきがあるため、すべてをこの数字でまとめてしまうことはできませんが、検挙されても9割以上が起訴されないのです。

では9割以上の検挙者が無罪放免=不起訴なのかというとそうではありません。起訴猶予であったり、略式起訴による罰金刑であったりし、一定の罰が与えられることもあります。又は被害者と示談が成立し起訴されない場合もあります(示談金の支払いなどのペナルティが課せられますが。)

さらには誤解や誤認による「冤罪」であったり、不幸にもたまたま事件に巻き込まれてしまった場合や、陥れようとする偽証による検挙もあるため、しっかり精査を行った結果、刑事起訴が行われなかったり、起訴しても有罪にできる証拠がない場合等には積極的に起訴しないので、起訴率が1割にも満たない結果となりました。

今回の調査は「逮捕されたら起訴率はどれくらいか」ではなく、「検挙されたら起訴率はどれくらいか」となってしまいましたので、別の機会に検挙された人の中の留置所から起訴された人に的を絞った再調査と、犯罪別の起訴率も併せて調査を行います。

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