前回、検挙された容疑者の起訴率を計算してみましたが、今回は「逮捕」、つまり手錠後かけられ、身柄拘束された容疑者のその後の統計を調査しました。
今回は、逮捕された後すぐに解放される人、送検され解放される人、勾留が決定し留置所生活を続けなければいけない人、それぞれどれくらいの割合になるのかを最終目標とします。
前回同様、今回も平成27年(2015年)のデータで計算します。
逮捕者数のデータは政府統計の公式データを取得します。
この法務省が取りまとめた平成27年の逮捕者は、
逮捕総数 | 333,923 |
検察庁逮捕 | 194 |
警察から身柄送致 | 118,259 |
警察で身柄釈放 | 7,638 |
逮捕されないもの | 207,832 |
逮捕者総数は333,923となっています。
んん?逮捕されたのに「逮捕されないもの」ってなんだ???「警察で身柄釈放」と何が違うのでしょう・・・それにしても「逮捕されないもの」が結構ありますね。
いわゆる誤認逮捕で逮捕取り消しや私人逮捕したものが行政による逮捕用件に満たなかったということでしょうか・・・
逮捕後の処置データによると
逮捕後総数 | 118,456 |
勾留許可 | 106,979 |
勾留却下 | 2,866 |
少年鑑別所送致 許可 | 834 |
少年鑑別所送致 却下 | 21 |
家庭裁判所調査官の観護 許可 | 2 |
家庭裁判所調査官の観護 却下 | 0 |
逮捕中公判請求 | 52 |
逮捕中略式命令請求 | 706 |
逮捕中家裁送致 | 695 |
検察官が釈放 | 6,301 |
データを見ると、「逮捕後の処置」の総数が「118,456」となっていますので、 「警察で身柄釈放」 「逮捕されないもの」 を除いた数とほぼ一致しますので、逮捕されたがすぐに解放された人は215,467となります。
「逮捕総数」 - 「逮捕後総数」 = 逮捕されたがすぐ解放された人
333,923 - 118,456 = 215,467
逮捕されてもすぐに(逮捕から送検までの48時間以内に)64.5%の人が解放されているんですね。
「逮捕されたがすぐ解放された人」 ÷ 「 逮捕総数 」=すぐに解放された人の割合
215,467 ÷ 333,923 = 0.645・・・(≒64.5%)
すぐに解放されなかった残りの118,456も送検されたが「勾留却下(裁判所判断)=2,866」「検察官が釈放= 6,301 」合わせて9,167が解放されています。
送検された118,456のうち、7.7%の人が解放(逮捕から48~72時間以内に)されます。
「送検後に解放」÷「送検された人」=送検されたうちの解放された人の割合
9,167 ÷ 118,456 = 0.0773・・・(≒7.7%)
逮捕された総数333,923のうち9,167が解放されたとすると逮捕者全体の2.7%が送検後解放(逮捕から48~72時間以内に)されたこととなります。
「送検後に解放」「逮捕者全体」=逮捕者全体で送検後解放された人の割合
9,167 ÷ 333,923 = 0.0274・・・(≒2.7%)
この結果を見ると、逮捕されても64.5%の人は48時間以内に解放され、2.7%の人は72時間で解放されることになりますね。
解放されなかった残りの人は、留置所や鑑別所に残されたり、そのまま裁判が始まったり、罰金刑を受けたりすることとなるようです。
送検の結果、留置所にそのまま拘留されてしまう割合は、逮捕者全体から見ると
「勾留許可」÷「逮捕者全体」= 逮捕者全体での勾留許可決定者の割合
106,979 ÷ 333,923 = 0.320・・・(≒32%)
と、逮捕されたうちの32%の人が勾留許可決定を受け、長い留置所生活となってしまいます。
逮捕されたら1/3の割合で10日間以上は帰ってこれないと覚悟する必要がありますね。
※さらに、延長拘留として+10日間留置所生活が続くこともあります。
※起訴されるとさらに起訴後勾留が始まり、保釈が認められないと裁判が終わるまで留置所や拘置所で生活(2~3カ月以上)することとなります。
逮捕された罪状や被害の程度などにもよりますが、早期に逮捕・勾留状態から解放されるには、自らの力だけでは難しい場合が多く、留置所に入れられると頼れるのは弁護士だけで、弁護士の腕次第で状況が好転する場合もありますし、刑事や検事・裁判官によっても判断が分かれる場合もあるようです。