「留置所」「拘置所」「刑務所」とはどのような違いがあるの?
日本の刑事収容施設には、警察管轄の「留置所」、法務省管轄の「拘置所」「刑務所」があり、それぞれに特化した役割・立場の違いで収容される施設が異なります。

「留置所」「拘置所」「刑務所」って、牢屋って意味では同じで、「刑務所」が罪を償う場所みたいなイメージですけど、本当のところどう違うの?

大まかには、「留置所」は警察が逮捕した被疑者を勾留する場所、「拘置所」は起訴された被告人を勾留する場所、「刑務所」は懲役刑や禁固刑の受刑者が服役する場所です。
施設 | 用途 | 管轄 |
留置所 | 警察が逮捕した被疑者を勾留する場所 | 警察 |
拘置所 | 検察などが逮捕した被疑者を勾留する場所 起訴された被告人を勾留する場所 裁判で懲役刑や禁固刑が確定し、刑務所へ移送される前の短い期間 又は、新人教育や食事係などで服役する場所 死刑が確定し、刑が執行されるまでの間 | 法務省 |
刑務所 | 懲役刑や禁固刑で服役する場所 裁判所の近くに拘置所がなく、起訴された被告人を勾留する場所 | 法務省 |
【拘置所・刑務所に収容された被疑者・被告人と受刑者の違い】
■被疑者・被告人(裁判未決者)は、裁判がまだ終わっていない人で、推定無罪の立場です。
■受刑者(裁判既決者)は、懲役刑や禁固刑又は死刑が確定した人で、有罪の立場です。
裁判未決者(被疑者・被告人)と裁判既決者(受刑者)では立場が異なり、面会や差し入れ、購入できる日用品、衣類の制限、労働有無、規則などの扱いが異なります
【留置所での生活】
- 留置所は警察の管轄で、主に警察署内に設置されています。
- 留置所での勾留生活は、3~4人の共同部屋か、一人部屋かに分かれますが、起床・食事・洗面・就寝などの時間は同じで、規則正しい生活となります。
- 部屋には家具などは一切なく、トイレだけが設置されています。
- トイレは丸見えというわけではないが、壁と簡易的なドアで区切られ、留置担当官から立つと見えるように窓が設置されていますが、しゃがむと見えないように配慮去られています。
- 本を読んだり、手紙を書いたりする机などは一切ありません。
- 洗面台もなく、歯磨きは、朝晩2回決まった時間に順番に行います。
- 水を飲みたくなっても自由に自分で飲むことはできず、留置担当官にお水を要求し、その都度コップに入れてもらい飲み終わるまで監視され、飲み終わるとすぐにコップを回収されます。
- 食事は一日3回、簡素なものがお弁当形式で提供されますが、温かいご飯ではありません。
- 昼食は食パン4枚とミートボール1個くらいのものが提供され、他に自弁というシステムがあり、おかずやお弁当・カレー等を注文することが出来ますが、お金を持っていないと注文できません。(自弁は昼食のみ利用可能)
- 接見禁止処分を受けていない場合は、平日に一人一日1回面会できます。(弁護士は無制限)
- 差し入れ品(衣類・書籍・手紙・現金)を一定の制限の元、受け取ることが出来ます。
- 風呂は10に一度~1週間に一度。
- 洗濯は1週間に一度程度。
- テレビは見れない。
- 冷暖房完備
【拘置所(裁判未決者)の生活】
- 管轄が法務省となり、担当官は留置所の時よりも厳しい傾向にある
- 留置所と同じく、自弁と呼ばれるおかずやお弁当などを買うことが出来、留置所とは異なり、お菓子やカップラーメンなども購入可能になります。
- 部屋にはトイレ以外に机があり、本を読んだり手紙を書いたりすることが楽になります。
- 留置所と同様の差し入れ品を受け取ることが出来、さらに布団の差し入れも受け取ることが可能となります。また、差し入れされる衣類の制限は少し緩くなります。
- 留置所同様に平日一人一日一回面会ができます。(弁護士は無制限)
- 自室でラジオも聞くことが出来ます。
- テレビは見れない。
- 一部(寒冷地)、部屋に暖房施設あり。
【刑務所(懲役刑受刑者)の生活】
- 未決者の時とは違い、担当官はとても厳しくなり、命令に従わなければいけない。
- 服装は支給されたものを着用しなければいけない。
- 衣類の差し入れは下着(シャツ・パンツ・靴下・メリヤス)のみとなる。
- 拘置所(未決者)よりも朝が早い。
- 規律違反を犯すと、懲罰処分として、反省室に入れられ、何もしてはいけない。
- 違反例
- 食べ物などを受け渡しすること
- 作業中に担当官の許可を得ずによそ見や私語をすること
- 受刑者同士トラブルを起こす
- 担当官の言うことを聞かない
- 違反例
- 午前と午後に刑務作業を行う。
- 1日、2~3時間程度、テレビを見ることが出来ます。
- 一部(寒冷地)、部屋に暖房施設あり。

冷暖房以外の環境では、留置所が何も出来そうもなく、つらいそうですね。

「留置所」は管轄が警察、「拘置所」「刑務所」は法務省の管轄となり、この二つでは扱いが大きく変わるようです。

刑務所ではテレビが見れて、留置所では見ることが出来ないことに驚きました。