留置場・拘置所・刑務所での新聞事情。差し入れはできる?読める時間は?

留置所

逮捕、勾留されると外部の情報に触れる機会が大幅に制限されてしまいます。

外の情報に触れる手段としての新聞。今回は、新聞は読めるのか、差し入れできるのか、施設ごとのルールなどを解説します。

留置場・拘置所・刑務所では新聞は読める?

多くの施設で新聞を読むことは可能です。ただし、どの施設にいるか、どの段階にあるかによって、その内容や方法に違いがあります。

  • 留置場(警察署内の施設):新聞の回覧制度があり、新聞を読むことができます。ただし、施設内に勾留されている者の事件部分には、捜査に影響を及ぼす可能性があるため、特定部分を黒塗りされて回覧されます。自分で新聞を月間契約することができますが、新聞社を限定されることがあります。新聞を差し入れできる施設もありますが、検査に時間がかかりその日のうちに受け渡しされるとは限りません。
  • 拘置所:新聞の回覧制度はあります。収容者自身で月間契約をすることで自分用の新聞を購読することができます。新聞の差し入れは、できない施設が多い傾向となっています。
  • 刑務所:こちらも回覧制度があり、新聞を読むことができます。刑務所でも収容者自身で月間契約を行うことで新聞を購読することが可能です。差し入れに関しては、基本的に難しいでしょう。

新聞の回覧制度とは?いつ、どこで読めるのか

回覧制度とは、施設側が用意した新聞を、被収容者同士で順番に回し読みする制度です。

読める時間

多くの施設では、朝食後から各部屋に順番に観覧され、読書が許される時間帯に回覧されることとなりますが、すべての部屋に回されることとなるため、1部屋あたりの時間は限られてしまいます。

読める場所

独居房での個別閲覧、あるいは共同居室での共有閲覧となります。

読める内容

施設で決まった新聞社の一般紙となり、スポーツ新聞や競馬新聞などは回覧されません。

新聞を差し入れることはできる?できない?

新聞を差し入れできるかどうかは、各施設によって異なります。

許可されている施設では、窓口へ持ち込みや郵送での差し入れができます。但し、施設で書き込みなどがないか等チェックされるため、受け渡しまでに時間がかり、概ね翌日以降となり施設によっては10日程度かかってしまう場合もあります。

施設別の新聞事情例

施設ごとに新聞の購入や差し入れ事情は異なりますので、実際の事例をご案内します。

世田谷警察署の留置場

新聞の回覧制度はあり、無料でも新聞を読むことはできます。

新聞を定期購入することが認められているので、1か月ごとの契約を行うことで、自分用の新聞を購読することができます。ただし、読売新聞となるようです。

差し入れを行うことも可能ですが、事件内容の掲載や書き込みの有無、折込等の合図がないかといったチェックが行われるため、受け渡しは翌日以降となります。

東京拘置所

新聞の回覧制度はありますが、新聞社を指定することはできません。

新聞を1か月単位で契約することができ、数社より新聞社を選ぶことができます。

新聞の差し入れは禁止されており、窓口持ち込みでも郵送でも差し入れすることはできません。

大阪拘置所

新聞の回覧制度はあります。

新聞の購読も可能です。1か月単位で契約できます。

差し入れに関しても、窓口からだと同一社の新聞は7部までとなり、別々の新聞社の場合はそれぞれ3部までとなっています。検査に2日程度かかりますので、2日後に本人に受け渡しとなります。

郵送の場合は数量に制限はないようですが、到着してから1週間~10日後に受け渡しされることとなります。

名古屋拘置所

こちらも回覧制度はあります。

新聞の定期購読も可能です。

差し入れは窓口・郵送それぞれできません。

京都刑務所

回覧制度はあります。

本人による1か月単位での購入も可能です。

外部からの新聞の差し入れは禁止されています。

一部の施設では、新聞を差し入れすることができますが、本人に手渡されるまでに時間がかかってしまい、情報の鮮度が下がった状態で受け取ることになります。

本人購入の場合は、1か月単位で新聞を購読することができますので、現金を差し入れし、本人が新聞を購読する手続きを施設内で行うことが、新聞入手の最良の手段だと考えます。

施設で新聞購入する方法

施設で新聞を読んでもらうためには、本人が施設内で「月契約」の手続きを行う必要があります。1回だけの購入や、外部の家族が新聞販売店と契約して施設へ直接届けるといった方法は、原則として認められていません。

そのため、ご家族としてできることは、本人に新聞を購読してもらえるよう現金を差し入れ、面会や手紙で「新聞を契約してね」と伝えることです。

新聞は1か月ごとの契約となるため、定期的に読み続けるには、毎月の費用を支える準備が必要です。本人の生活の中で、少しでも気持ちが落ち着くきっかけになるよう、ぜひサポートしてあげましょう。

購入できる新聞の種類は、施設によって選択ができる場合や、決められた新聞社の物のみが購入できる場合、複数社の新聞を購入できる場合もありますので、施設担当者に確認が必要です。

  1. 面会や手紙で、施設内から1か月単位で新聞の購読の申し込みができるということを伝える。
  2. 1か月分の新聞代金を差し入れる。
  3. 本人より施設管理人へ1か月の新聞購読の申請手続きを申し出る。
  4. 施設で預かっているお金より、新聞代金を支払う。
  5. 本人に契約期間内の新聞が毎日届けられる。

新聞差し入れを検討されているご家族へ

新聞は、拘束された方にとって「外の世界との数少ない接点」であり、精神的な支えになるものです。だからこそ、次の点を大切にしてください。

  • 許可される差し入れ内容は施設ごとに異なりますので、新聞の差し入れの可否と本人への受け渡しのタイミングを確認ください。
  • 交通の禁止処分が下されている場合は、差し入れができない状態となるので、本人の状態を確認する必要があります。
  • 新聞の差し入れではその日の新聞がその日のうちに読めないこととなることが多いため、現金を差し入れし、施設内で新聞の定期購入ができることをお伝えいただくことが、最良の手段だと考えます。

「新聞を届けたい」というお気持ちは、とてもあたたかい支援のひとつです。正しい方法で、その気持ちを届けてあげましょう。

まとめ

新聞は、施設に収容されている方にとって、大切な情報源であり心の拠り所にもなります。差し入れが可能かどうかは施設ごとに違い、事前の確認が必須ですが、うまく手続きを踏めば、日々の暮らしの中で新聞を読んでもらうことは十分可能です。

施設にいる本人にとって、毎日の習慣として新聞を購読されている方にとっては、少しでも日常に近づくことで、気持ちも落ち着くことと考えます。

施設内での定期購入ではなく、どうしても新聞をご家族やご友人名で差し入れされたい場合や、施設内の本人への新聞購読の方法の伝え方など、わたしたち「さしいれや」へのご相談をお受けしていますので、遠慮なくご連絡ください。

家族が逮捕され、何をどうしていいか分からない中で、こうした情報が少しでもお役に立てれば幸いです。

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