容疑者・被疑者・被告人は犯人ではない?

犯人だ 逮捕

容疑者、被疑者、被告人は逮捕されているのに犯人ではないとはどういうことなのでしょうか?

まずは、それぞれの意味についてみていきましょう。

容疑者とは

容疑者(ようぎしゃ)とは、正式には「被疑者(ひぎしゃ)」と呼び、犯罪の疑いを受けて捜査の対象になっている人のことです。

疑いがかけられている段階ですので、「推定無罪」の原則により、犯人ではありません。

なぜ被疑者を容疑者とよぶのか?

テレビやラジオで「被疑者(ひぎしゃ)」と呼ぶと、「被害者(ひがいしゃ)」と聞き間違えてしまう恐れがあるため、「容疑者(ようぎしゃ)」と呼ぶようになりました。

こちらも容疑者と同じ意味なので、犯人ではありません。

被告人

逮捕された容疑者(被疑者)を取り調べや証拠集めなどの捜査の結果、検察が裁判で有罪にできる可能性が高いと判断すると、 刑事起訴(=刑事裁判を起こす)を行います。

起訴されると呼び名は容疑者や被疑者から被告人となります。

被告人となっても、裁判で有罪であると認められていないので、犯人ではありません。

このように、容疑者・被疑者・被告人のそれぞれは「犯人ではない」ということになります。

犯人とは
  • 逮捕された段階では容疑者(被疑者)で、疑われている存在であり、犯人ではありません。
  • 刑事起訴された被告人は、有罪判決を受けていないので「推定無罪」の原則により、犯人ではありません。

しかしながら、普通に生活している人々にとっては、「逮捕=犯人」というイメージが先行してしまい、「犯人が逮捕された」など、間違った使われ方がされることが多いです。

テレビニュースなどでは、アナウンサーや法律家のコメンテーターは、逮捕された被疑者のことを「容疑者」と呼んでいますが、タレントのコメンテーターは「犯人」と間違った使い方をしている様子をよく目にますし、報道内容を見ると、完全に犯人扱いをしていますね。

「推定無罪」の原則はどこに行ってしまったのでしょうか?

本来であれば、裁判が終わった段階で有罪となった場合「犯人」として報道すべきであり、容疑者や被告人の段階で、個人情報をみだりに拡散してもよいのでしょうか?

テレビや新聞では、個人情報保護の観点から、ある程度制限された情報(一定期間でネットから動画や記事を削除するなど)となっている一方、週刊誌やネットニュース、個人ブログなどでは、「犯人の特定」として、容疑者の個人情報を虚偽の内容も含め、際限なく収集拡散されてしまいますし、不起訴・誤報だった場合でもそのまま消えずに残ってしまうこともあります。

逮捕だけでなく、警察署へ任意同行として呼び出されてしまうだけで、「ほぼ犯人だ」などと誤解されるケースも多々あります。

  • 隣のご主人が警察へ任意同行=「ほぼ犯人だ」
  • ママ友が事情聴取を受けた=「ほぼほぼ犯人ね」
  • 親戚が職務質問を受けた=「職務質問を受けるような危ない人だから付き合ってはいけません!」

このように不利益を得る場合もあるので、任意でも職務質問・事情聴取・警察署への同行なども避けたいものですね。(※拒否して逃げたりすると余計に怪しまれたり、公務執行妨害で逮捕されたりして不利になりますので、素直に応じることが大切ですね。)

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